「白雪姫」で白雪姫が白とブルーの配色を身につけているのも、それが賢さと清楚さを表すからである。
「眠れる森の美女」のオーロラ姫が16歳の誕生日に淡いピンクやブルーのドレスを着るのも分かる。これらのいわゆるバーステルカラーは恋心を抱く若い女性の多くが好む色調です。
色彩の嗜好調査をしてみて気づいたのですが、子どもたちは12~13歳になると淡いピンクやグリーン、ブルーなど明るくソフトな色調を好む傾向が出てくる。どうやら思春期になり、人を愛する心が育ち始める時の心理と関係があるらしい。何か、胸のところがキュンとしてくるような夢見心地の気分が明度の高い色調と引き合うのでしょう。
これは女の子に限らず男の子にも共通している。ただし、日本のように中学、高校と恋愛感情が1番育つ時期に受験勉強という抑圧的な日々を過ごすと、絵には返ってダークな色調が多くなる。中には、ほとんど色を使わずマンガなどを黒い線だけで描く子どもも少なくない。
描かれるテーマも近未来戦争のような、やや暴力的なものが多い。内向した感情が好戦的なエネルギーになってしまうようだ。そうなると絵もおどろおどろしい表現になる。
私が忘れられないのは11歳の男の子が描いた鬼の絵だった。口は左右に大きく裂け、目はつり上がって、長い髪の毛が恐ろしげになっている鬼、凄みのある絵である。日頃は穏やかな性格の子どもが、その絵を描いた頃は荒れていて、物を投げたり、他の子をいじめたりしていた。母親に聞いてみると、中学受験の真っ只中だった。連日遅くまでの塾通い、次々とこなさなければならないテスト、睡眠不足とストレスでイライラしていたのだろう。
改めて、その子が描いた鬼の絵を見ると、どこかその母親を思わせるところがあった。子どもの目には、勉強を強制する母親の顔が鬼のように見えたのかもしれない。
その時に、私が思い出したのは、ディズニーアニメが描く魔女のイメージだった。
、、、次回に続く!