紫トポワサンスカート
私の大好きな「紫色」の話をします。
皆さんは紫という色についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。紫という色ほど、その使い方によってイメージの違ってくる色も少ない。歴史的に見ると東洋でも西洋でも、紫は高貴な色とされてきた。しかし、今では、使い方を一つ誤ると、全く逆の低俗なイメージになってしまう恐れさえある。
紫が高貴な色として扱われてきた由来は、合成染料がない時代、紫を染めるためには、大変に高価な染料が必要で、経済的に豊かな身分の高い人でなければ、手が届かないものだったからだ。
一つには紫草の根で染める方法で、紫根染と言う。紫根は昔は日本の各地で栽培されてはいたが、大変な日数と手数をかけて染め出されるものだった。また、もう一つの方法は、貝紫というパープル腺からの液(貝にとってイカの墨のようなもの)から染める方法で、これは古代ローマ、地中海の民、フェニキア人が見つけた方法である。これも染めるためには、たくさんの数の貝を採取する必要があり、同じく高価なものだった。
私はテレビ番組で、今なお実際の生活の中で貝紫の染めをしているある話を聞いて感動した。どんなお話かと言うと、メキシコの先住民、ミステカ族の男性は花嫁を迎える時、その花嫁のためにポワサンコというスカートをおくるという。今でいうとエンゲージリングなどの品にあたるものだと思うが、このポワサンコを染めるために、花婿は村から300キロメートルも離れた海へ行き三カ月がかりで千個の貝を取り染める。そしてそれは花嫁の生涯の宝物になるという。ダイヤの指輪も、このポワサンコスカートには全然負ける気がした。
【ブログ】
お問い合わせありがとうございます。
☆お問い合わせ&最新情報はこちらから