襲の色目(かさね)!
お正月と言えば、やっぱり着物。と言いたいところだが、最近は、茶道や華道のお稽古をしている人を除くと、成人式や結婚披露宴以外では、ほとんど着物を着る人を見なくなった。ブランドの着物が出てきたりして頑張ってはいるものの、全体としては、やはり少ない。
着物と言えば、歴史的に見て、日本人は本来カラーコーディネートに素晴らしい感覚を持ち、その事を大切な事としてきている。例えば、平安時代の「襲の色目」と呼ばれたものだ。
それは何かと言うと、平安時代の宮中の女性などが身につけていた「十二単」の配色だ。その時代のテレビの歴史ドラマか何かで、着物を何枚も重ねて、裾をひいている姿をご覧になった事があると思う。
その何枚も着重ねた袿(うちぎ)の襟元や袖口、裾の重なった部分の配色のことを「襲の色目」と呼ぶ。宮中の女性達は、この部分の配色に知恵と趣向を凝らした。
「襲の色目」の名称である「うめ、やなぎ、さくら、つつじ」など、咲く花の姿や季節の風物を思い起こせる配色、自然界の季節の移り変わりを見事に表現する色彩美。四季のある日本ならではのカラーコーディネートだ。
「はなたちばな やまぶきこきうすき二 しろき一 あをきこきうすき あをひとへ」と言うのがある。これは、緑の濃淡二枚とやまぶき色濃淡二枚の間に白色を配した美しい配色である。皇太子妃雅子さまのご成婚の時の「襲の色目」は、この「はなたちばな」だったと聞いている。
宮中の女性達はこの配色により、男性から、教養や趣味を判断された。実は、平安時代の人々は、雅なカラーコーディネーターだったのだ。