雨乞いの祭り「雨乞いには黒い馬」‼︎
日本では、日照りや長雨が続くと、馬を神社に奉納して雨を乞ったり晴れを願ったりする風習がありました。民俗学において馬は神の乗り物と説明されますが、古代中国では龍が水を離れると馬になるといい、龍とも関連するようです。
神社に奉納される馬の毛色と祈願の内容には、五行説の色のルールがうかがえます。
馬は十二支では「午」、五気では「火気」に当たります。雨乞いには黒い馬を奉納しましたが、黒は「水気」、黒い馬は「水と火」つまりは、水は火に勝つとなり、日照りを剋すると考えられたのです。
反対に、祈願の際は白い馬を奉納しました。白は「金気」なので「金生水」となり、水を生じます。
午の「火気」と白の「金気」では、「火剋金」、つまり火が水を生む金に勝ち、白い馬は雨を剋することになります。
天空の太陽が隠れる日蝕は、日照りや長雨にも増して古代の人々には恐怖でした。
「続日本記」には、日蝕の時に赤毛の馬を奉納したとの記録があります。太陽の復活を祈念し、午の「火気」と赤の「火気」による相乗効果を期待したのです。
のちには、生きた馬の代わりに絵馬を奉納するようになりました。神社に残された古い絵馬からは、昔の人々の切実な祈りが伝わってきます。