「アカンベー」は本当に赤いのか?
子どもの頃、遊び相手をからかったり、イヤなヤツを軽蔑したりする時「アカンベー」をしたことがあるだろう。
この語源をたどると、もともとは「赤目」と言っていた。それがアカンメ、アカンベ、アカンベーと変化していったのだそうだ。
実際にアカンベーをしてみると、指で目の下を引っ張るから、下瞼の粘膜がのぞいて赤く見える。そういうおどけたしぐさをすることで、相手を低めようという効果があったわけだ。
ところで、アメリカでは、寝る暇もなく目を真っ赤にして仕事をするビジネスマンを、そのままズバリ、レッドアイ(red eye)という。日本の赤目(アカンベー)に比べると、こちらはちょっと悲壮感が漂う。
そう言えば、日本語には「赤の他人」という言葉がある。この「赤」のもとになったのは、サンスクリット語の「アルガ」。それが漢字では「閼伽」英語では「アクア」となった。いずれも、おおもとは、仏前に供える水を意味している。
やがて、日本では、水のように冷たい「閼伽の他人」が、「赤の他人」と表記されるようになった。
ここで使われている「赤」はまったく当て字なのだが、火や情熱をあらわす赤が、まったく反対の意味に使われているというのは、ちょっと不思議だ。